ひづめゆは大きな岩手のクロスポイントに位置する紫波町にて、2022年夏に創業しました。

名前の由来ともなっている日詰は、紫波町の中においてもまちの中心にあり、長い歴史を持つ日詰商店街と進化を止めないオガールエリアの結節点です。新旧が重なるこのエリアは、昔から紫波に住む人と新しく紫波での生活を始める人が集まる人気エリアでもあります。

ひづめゆは旧紫波町役場庁舎の跡地活用事業として、町民の誰もが訪れることができた旧庁舎の場所を、再び人が集まる、且つ交流を楽しめる場所にすること、そして、旧庁舎という大きな拠点を失った日詰商店街地区のにぎわい創出に寄与したいという想いから生まれました。




その想いを持続的に実現する為、老若男女問わず誰もが気軽に訪れることができて、疲れた身体を癒し健康にも繋がる、「まちなかのみんなのお風呂」を現代的に解釈し、昔ながらの銭湯のフォーマットをアップデートしようと試みました。

ひづめゆでは、疲れを癒し健康を向上させる高濃度炭酸泉による温浴施設だけでなく、サウナ発祥の地と言われるフィンランドでは交流の場として親しまれているサウナ施設も完備。何も身につけず語らうことから生まれる穏やかでリラックスした空気感を創出し、交流を促すことを目指します。

お風呂で出会った隣人との何気ない世間話を楽しみ、世代を超えて裸のつきあいをする。食べて、飲み、お風呂に入り、語りあう。特別なことは何もないけれども豊かな日常として誰もが気軽に立ち寄れる、まちなかの湯。

都市と農村の新しい結びつきを創造するオガールの誕生によって、紫波町の日常に多くの選択肢ができたように、ひづめゆも紫波の新しい日常の選択肢を目指し、まちの豊かさと発展に貢献したいと考えています。

まちの真ん中からまちをわかす、多世代の交流の場を目指して。ゆっくりと、まちをかまし、紫波をわかしていきます。

温浴施設をシンボリックに表す湯気を「円弧」として最小単位に据え、それが二つ、三つと複数集まりそれぞれに関係性が生まれることで、立ち昇る水蒸気だけでなく、ひづめゆが人と人の交わり、“にぎわい”や“活気”のある場所になっていくさまを表現しています。また、「円弧」が欠けた三日月のような満ち欠けを想起させることから、地域の方々とお互い足りないものを補い、支えあいながら一緒にまちづくりをしていきたい、という想いが込められています。

にぎわいや活気を想起させるシンボルマークと、どこか懐かしく親近感を抱かせるタイプフェイスの「間」を意識した組み合わせです。新と旧、機能性と情緒性、男性性と女性性など一見相反するようなテーマをニュートラルな視点で繋ぎ、一般的な銭湯のロゴフォーマットを現代的にアップデートすることを目指しました。



ひづめゆの壁画は、「異彩を、放て。」をミッションに、世界を隔てる先入観や常識を超え、さまざまな異彩を、さまざまな形で社会に送り届け、福祉を起点に新たな文化をつくり出している地元岩手の企業ヘラルボニーに依頼しました。

描き手は、文字や数字を独特の形にアレンジして表現するアーティストの小林覚さん。銭湯の壁画といえば、一般的に富士山というイメージですが、ここから紫波の新しい日常をつくることを目標に、既成概念に対するオルタナティブな壁画として、高濃度炭酸泉によるお風呂の効能を書いて (描いて) もらいました。

ぜひ、壁画の文字を解読しながら、疲れを癒し健康を向上させる、ひづめゆのお風呂をご堪能ください。